🔑KEYS的世界の行方 ―私の場合 ― 金城博子
日付をまわった深夜、冷蔵庫から麦茶を取り出してひと息に飲み干しました。目の前の食卓には読み終わったばかりの本『カフネ』(阿部暁子著、25年6月千葉敦子さん選)が置いてあります。読み残していた後半半分を週末の今夜読むことに決めて、先ほど読み終えたのでした。一冊の本を読み終えた充実感は何ともいえません。読み終わった余韻にひたりつつ、今度のコメントはどの部分にしようかなとまた本をめくって。KEYS本ならではの二度読みの夜はゆっくり更けていきます。
読書の楽しさには、本のタイトルや表紙などから想像する期待感、読み進んでいく中で物語に入り込んでいく没入感、読み終えた直後の余韻や充実感などがあると思います。私の場合は読んでいくうちに、暮らしの中で無意識に緊張している感情がゆっくりほどけていくような感じがあります。集団行動が求められる日常は時に息苦しく、日々を穏やかに過ごすために少なからず緊張しています。そんな日常をいったん離れる時間が読書なのです。自分では選びえないKEYS本の世界で出合う人物や物事からは新しい視点に気づかされます。その視点から湧いてくる自分の感情は、日常の緊張でかたまった糸がほどけて軽く、そして自由です。作品によっては重いこともありますがそれもまた良しなのです。
KEYSは読書会でありながら、課題の本を読んでいるかどうかは問わないという暗黙の了解があります。本のことだけでなく、会わない間の心模様を自由に語っていい、語らなくてもいいのです。かっては幹事指定の会場にたどりつかないと参加がかなわない「場所」でしたが、コロナ渦で初めてオンラインKEYS(23.5.20千葉さん幹事)が開催されて一変しました。リモート参加が可能になったのです。モニターを通して久しぶりにメンバーと対面した時ネット技術の革新に初めて感謝しました。その後KEYSコメント欄に本の感想が掲載されるようになりました。対面の集まりができるようになった今日でも読後コメント方式が維持されていることは、柔軟なKEYSの素晴らしいところです。ここでも言えるのは、自分の声であれば何を語ってもいいということでしょうか。「遠くから参加できる場所」になったKEYSに、ほどけた感情をテキストにして投稿する試行錯誤を楽しんでいます。
最後に、これまでKEYSと共につかずはなれず歩んできたすべての皆さんに感謝して、KEYS500回に寄せたメッセージを締めくくりたいと思います。

